コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 医療崩壊2007.11.19

キューバという国には、学校と病院をいっぱい作るという今で言うヴィジョンで新しい社会主義国家で建国されたらしい。
フィデル・カストロとチェ・ゲバラが中心となった。
ゲバラは革命家として世界的英雄となったが、もともとは医者で、今でもTシャツのデザインになるくらい、ヒゲ面とベレー帽のハンサムな男だ。

建国後には、カストロと袂を分かち、ボリビアで活動したが、政府の軍に射殺された。

医療と教育は、社会資本だ。
社会保障の根幹をなす。
国民皆保険制度が危機に瀕するかも知れない事態だそうだ。
政府は財政難を煽り、昭和56年以降「医療費抑政策」を「医療費は高い」と嘘をつき、国民のコンセンサスをマスコミ操作で透導し、現在も推し進めている。

官から民、公から民、医療サービスが公的保険から民間保険に移れば結果は明らかだ。
競争によってサービスも向上し、医療費も抑制されるし、より合理的になると政府はアナウンスしていたが、誰が考えても決してそんなことはない。

そもそも保険会社というのは、純粋な営利目的の企業だ。
元ハーバード大学の教授の李 啓充氏によれば、民間保険会社は、例えば、100円の保険料を徴収して、81円の医療給付。
公的保険ならば、それが98円も給付されるそうだ。民間会社の19円は、役員の報酬や、社員の給与、株主の配当にまわるから、当然サービスの質も下がり窓口負担は増える。

アメリカが民間保険のみだが、公的な国民皆保険制度は、民間保険会社の圧力で実現しないそうだ。
保険料も日本の上限額、年間65万円に対して250万円もする。
民営化、市場原理導入、医療費抑制、どれも国民の福祉と健康の増進に寄与しない。

医療費のGDP比の割合の少なさ、窓口負担の高さ。
いずれもヨーロッパの先進国からすると水準が悪い。我が国はさらに悪化させようとしている。

教育は、10数年前にゆとり教育をめざして、30%教育内容を減らし、週休完全2日制になった。
これもサービスの質と量の低下だ。
教師も給与や待遇を上げ、余計な仕事は減らし、休みを多くし、優秀な先生をキチンと教育する必要があるが、教育内容もどんどん国際レベルまで増やし、週休2日はただちにやめるべきであろう。

政府が何を考えているのかワカラン。
東大出た人達がいっぱいいるが、国家社会のことなど全く考えないエゴイストばかりが霞ヶ関を跋扈しているのであろうか。

父親は、30年も前に、まだ大学生だった私に、医者はこれから大変な時代、冬の時代が来るから、決して金儲けをしようとか、優雅に暮らそうとか考えずに、マジメに患者さんの為に仕事をしろと言いつづけた。
さらに、お前には何の取り柄もないから医者の資格は取っておけ・・・と。

父親の予想よりはまだマシであるが、だんだんそうなりつつある。
国民の暮らしぶりの悪化と同様に。

景気の良いのは、とても頭が良く目端の効き、頑張っている企業だけだ。
我々は、社会的弱者を相手にしている。

何度も言いつづけたが、今、良い暮らしをしているのは、教育を受けた人で卒業した後も勉強をつづけている人であるが、人間は生きていれば病気にもなるし、時には障害者にもなりうる。
そして、どんな裕福な人も死ぬ。その事を、政治、行政に関わる人々は忘れないで欲しいものだ。自分も必ずそういう事態になることを。

今は、ワーキングプアの人々も多い。
モチロン、ノージョブプアも多い。
ホームレスもいる。確実に格差は存在する。

医療もその流れでさらに格差は広がる。医療難民、介護難民、生活保護受給者等ドンドン増えている。

ありがとうございました。

追記【1】
マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」ではアメリカの医療事情の惨状を描いているが、アメリカの国民ひとり当りの医療費もGDP比も日本の日本の2倍である。
にもかかわらず、
我が日本の医療はそのシステムも結果も世界一だそうである。
イギリスもサッチャー政権で医療費は徹底的に抑制されたが、国民の強烈な非難不満が高じ、ブレア政権で「医療にはお金をかけなければなららない」として元に戻った。
郵政民営化と同様、小泉政権の「負の遺産」の修復には時間を要するのであろうか?
ちなみにアメリカでもそうだが、まともな先進国で郵政民営化などしているところなどなく、もちろん医療保険民営化など問題外である。
国家とは国民がその構成要素の本質、根本だ。その最も大切な国民の健康。
所謂「ビジネス」の道具にされたら国民も国家もたまったものではない。




たくま癒やしの杜クリニック
浜田朋久


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