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■ 罪悪感 | 2007.10. 2 |
クリント・イーストウッドの監督としての戦争映画の2連作品 「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」は「面白い試み」(太平洋戦争における硫黄島での戦いを、日米両面から描いている)という興味と同時に、表題についてのひとつの「人生の原則」を垣間見せてくれたという意味で、とても興味深かった。 戦闘シーンもリアルで、生々しく、娯楽映画としての出来栄えも素晴らしかったが 日米の出演者の演じる人物像が、その戦闘そのものでの悲劇、無残さと同時にそれぞれの 「人生への態度」「考え方」「覚悟」「美意識」等が、その人間の光と影を運命的に、というより、一定のルールどおり紡ぎだしていた。 表題の「罪悪感」であるが、これを心にこれを強く持つことで、人生を破壊に導くことを如実に物語っている。 米国側の物語「父親たちの星条旗」での登場人物の一人は、とても善良で、人柄の良いインディアン系の米国人で、戦友の死を悲しみ悼むあまり、生き残って「英雄扱い」をされることでさらに罪悪感というか自責の念を強く持ち過ぎて、さまざまな人間関係のトラブルを巻き起こすだけでなく、自らの人生もアルコール依存と喧嘩や暴力等、自己破壊的な行動の結末としてついには「野たれ死に」してしまう。 罪悪→罰 という関係にあるから、罪悪感は実際に罰を招き寄せるというワケである。 私自身も一度、離婚の経験があり、この「罪悪感」に苦しみ一時期は自殺も考えた。 我ながら、愚かであるけれども、意外に「善良」な性格なのだろう。別れた妻子に対して、「幸せにできなかった」という自責の感情を強く持った。 結果、色々な自己啓発や、心理学の本を読み漁り、さまざまなセミナーや講演会にも数え切れない程参加した。 その結果、少し「正気」に戻ったのか、或る自己をゆるす結論を得た。それは 『自分を苦しめても、誰も喜ばない。 まして、自分が死んだりしたら、別れた妻子に送金することもできず、母や、看護婦さんや、多くの患者さん達も悲しむかも知れない。』 当たり前のような話であるが 「罪悪感を持つより、一生懸命働いて、一生、送金して、面倒を見る方がはるかに良い」という確信を持った。 結果、今は、別れた妻も子も私のことを少なからず敬愛してくれているようだ。 「同情するなら金をくれ」 昔のテレビドラマでこのセリフが流行したが、人間社会の経済的に困窮している人々の心のひとつのありようを、言い得ている・・・と思う。 罪悪感はこれを持つことで、それを持った人の罪を自己満足的に滅じるだけで、何も生みはしない。そして、見当ちがいの償い等、周囲にとっては迷惑千万かも知れないのだ。 ありがとうございました。 追記【1】 全く、自己正当化でなはく、真実として、ここ手前に「別れた妻」の女性は、僅か2年あまりの結婚生活を、悔いる風でもなく、「心から良かった」と言ってくれている。 真意は不明であるが・・・。 私自身も全く後悔はない。 客観的に見ても、50才のかの女性はとても素敵な人である。 たくま癒やしの杜クリニック 浜田朋久 |